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劇場版を見て、ドラマのクオリティの高さを再認識 ~ 『劇場版 MOZU』 ~

 

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 連ドラから続くスケール感

 


連ドラを通じての謎だった
「倉木の妻子の死の真相」と「ダルマの正体」
その2つに一応のケリをつけた『劇場版 MOZU』 

 
連ドラの時点で
映画と変わらない画作りや雰囲気に満ちていたので
いざ映画となった新作を見ても
「ドラマの映画化」という印象は受けず
画も含めてドラマから地続きというトーンが強い。


ただ
連ドラのときにはなかった
海外を舞台にした展開を大々的に盛り込むことで
MOZUという作品が持つ
国家的なスケール感を上手く拡張できていた。

 

 

キャラ立ちした敵キャラたち


淡々とした倉木
泥臭い大杉など
お馴染みのキャラ立ちした登場人物は相変わらず。


そうしたレギュラーメンバーと対峙する
映画から初登場となる敵キャラたちも
負けず劣らずの存在感を放っていた。


好青年色の強い松坂桃李
狂った殺し屋・権藤剛を演じるコントラスト。


インテリな雰囲気漂う伊勢谷友介
犯罪プランナー・高柳隆市を演じるナチュラル。


マルチなカリスマであるビートたけし
最大の謎であるダルマを演じるインパクト。


キャラ立ちしまくった敵キャラたちを
しっかりと彩る配役が劇場版の特別感を際立たせる。

 

 

新谷(池松)VS権藤(松坂)


連ドラで主役を食うほどのインパクトを残した新谷。


その新谷(池松)に
憧れや共感を抱く権藤(松坂)との対決シーンは
映画の本筋から外れた余興ともいえる場面だが
大きな見所の1つになっている。


ダークナイト』のジョーカーに
重ねた部分も多々ある新谷という人物の衝撃は
やはりMOZUシリーズに欠かせないスパイス。


劇場版での新谷(池松)は
セリフらしいセリフもない権藤とのバトル、
それに続くナレーションでの控え目な登場であったが
連ドラ時代と変わらぬ圧倒的な存在感を見せつけて
劇場版にしっかりと狂気の華を添えていた。

 

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キーパーソン東和夫(長谷川博己


連ドラでは終始
倉木たちの敵か味方か観察者か
よくわからない要素を抱えていた東和夫(長谷川博己)。


劇場版でも要所要所で
物語の展開を左右する
奔放なトリックスターぶりを発揮している。


新谷役の池松と同様に
東役の長谷川も
完全にハマり役だったと               改めて実感させられる演技っぷり。

 

 

最大の敵との直接対決はあっさり


ダルマとの直接対決は
あまりにも呆気なくて少し消化不良。


直接対決は
膨らませようと思えば
いくらでも膨らませられたと思う。


そこをすぱっとまとめた意図はなんだろうか。


中だるみしない
2時間映画というフォーマットにこだわったのか。


仮に前後編という二部作にしたら
冗長な展開になると判断したのか。


連ドラで引っ張り続けた
最大の謎であるダルマだからこそ
直接対決まで焦らす必要はないと決めたのか。


拍子抜けするほどあっさりとした結末は
どのようにも解釈できる余地を残している。


あのラストだと
ダルマが実は生きていた               という展開でも不思議ではない。

 

 

以下、ネタバレ

 

ダルマの正体を
戦後最大のフィクサーである「吉田コマオ」として
ダイレクトに児玉誉士夫になぞられていて二ヤリ。
(ググったら多くの人が同様に話題にしていてニヤリ)

 

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