エンプティ エン エターニティ

本・音楽・映画などの感想やレビューをざっくばらんに。

TPP交渉の不利益監視を(2013年3月)

【 2013年3月 中日新聞の投書欄に投稿して一部修正されて掲載。  】

 

安部普三首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。工業製品、農産物、金融、投資・・・。対象分野が幅広い分、私たちの生活に大きな影響を与える。
トータルで考えた時、この協定が日本にとってメリットが勝るものなのかどうか判断しにくい。

 

はっきりしているのはまだ交渉への参加を決断したという段階であり、肝心なのは日本政府が交渉力をしっかりと発揮できるのかどうかだ。場合によっては交渉離脱もにおわせつつ、慎重かつ強気で交渉に取り組んでもらいたい。

 

財界の期待、日米同盟、経済力や軍事力を増す中国へのけん制などを考慮しすぎて、デメリットや未知数な部分が多いままに加盟し、後になってから想定外の弊害に右往左往する事態は避けなくてはならない。各業界、メディア、国民が交渉の行方に目を凝らし、政府に対して「安易に不利益な妥協をするな」と圧力をかけ続けることが重要だと思う。

格差を生まぬ雇用関係必要(2013年2月)

【 2013年2月 中日新聞の投書欄に投稿して一部修正されて掲載。  】

 

七日の本欄「『非正規雇用』にも需要ある」を読み、就職活動中の私も「非正規」について考えた。

 

労働者側の「自分に合った働き方ができる仕事を選びたい」というニーズと、企業側の「人材を必要なときにすぐそろえたい」というニーズが合わさり、非正規という働き方が浸透することは悪いことではない。

 

ただ、問題が二点ある。一つは、継続的な雇用関係でないため労働者にスキルが身につかず、企業も本腰を入れて教育やトレーニングを拡充しようとしないという可能性。もう一つは、正社員と比べて賃金・仕事内容・福利厚生などで格差が生じやすいということだ。

 

多様な働き方の一つとして非正規雇用を認めるのはいい。ただ、そうした格差がないかの問題意識を社会全体が絶えず持ち、企業側に都合のいい雇用の調整弁としての非正規はなくしていかなければならないと思う。