耽美で妖艶なエッセンスを研ぎ澄ましつつ ~ Dir en grey 『THE FINAL』 ~
近年、
ビジュアル系氷河期を支えたバンドが
激減・POP化していく中で、
敢えてその「ビジュアル系」と括られてきた音楽が持つ
耽美で妖艶なエッセンスを研ぎ澄ましつつ、そこにラウドロックを盛ちこみ、突き詰めてきたDir en gray。
試行錯誤の果ての大きな節目ともいえるこの曲は、
日本的要素と洋楽的要素を
ビジュアル系という路線の持ち味の中で
最大限に生かしている印象。
「ビジュアル系」という括りの中で並々ならぬ覚悟を決めたバンドのこの曲は、「生」という根源的なものが持つ儚さを鮮やかに美しく表現している。
もはや、
独自の路線を確立したと言っても過言ではない。
「ロック」というジャンルに
少しでも惹かれるものがある人に
是非聴いていただきたい一枚。
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と、私は2006年に某SNSのレビュー日記に書きました。
90年代に一大ムーヴメントとなったビジュアル系。
流行の宿命ではありますが
2000年代に入るとその勢いは低迷していきました。
2000年代中盤から後半に
アニメ・マンガ・ゲームなどの
クールジャパンカルチャーが海外で盛り上がり
その文脈の1つとして
「ネオビジュアル系」と呼ばれるムーブメントが起き
改めてビジュアル系は注目されるように。
低迷と浮上の2000年代を経て
ビジュアル系は根強さと新しさを混ぜながら
90年代のような勢いはないとしても、海外の熱狂的なファンたちの存在も武器にしてシーンとして一定の市民権を再び取り戻した気がしています。
Dir en greyは90年代のビジュアル系全盛期からネオビジュアル系台頭までの間をつないできた数少ないバンドです。
国内よりも海外のフェスなどでの高評価とともに
メイクを薄くしたり完全に止めたり
サウンド面で妖艶さや耽美さを薄めるなど
様々な意味でビジュアル系色を薄めていきました。
90年代を生き延びた
数少ないビジュアル系出身バンドとしての意地や矜持。
その一方で単純に
「ビジュアル系」とくくられることへの葛藤や憤怒。
その両方を
全身で受け止めつつ
ストイックに試行錯誤を繰り返してきたDir en grey。
現在は
ケースバイケースで派手なメイクなども柔軟に取り入れ
ビジュアル系と見られるかどうかという次元も超えた
「海外でも活躍する不動の中堅バンド」という印象が強いです。
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